About Screw
ねじの話
「ねじ」って、なに?
重い荷物を持ち上げる際、まっすぐ持ち上げるよりも、斜面を利用して引き上げたほうが良いということは、誰もがよく知っていることです。さらに、急な坂道より、ゆるやかな坂道のほうが楽に登れます。つまり斜面は小さな力で、大きな仕事をさせる働きを持っているということです。
斜面に垂直な力は、物体と同じ大きさの反力でつり合っています。斜面に平行な力は、物体を斜面に沿ってひきずり下ろすように働いていますが、面に目に見えないくらいの大きさの凹凸によって摩擦力が働くため、物体は斜面上を静止することができます。
斜面の傾きが小さければ小さいほど、斜面に平行な力は小さくなりますが、物体を持ち上げる距離は傾きに比例して長くなります。山道をいそぐ時、ゆるやかな本道をはずれて、険しい横道をえらんで近道とすることは、誰もが行う斜面の応用である、といえるでしょう。
このような斜面の働きを利用したものが、ねじなのです。
ねじは働きの上から見ると、くさびを円筒に巻きつけたものに相当します。細長い直角三角形の紙を円筒に巻きつけると、三角形の斜辺は「らせん」を描きます。
ねじの「らせん」イメージ
この「らせん」に沿って溝をつけたものがボルトのねじ山です。
ねじ山の溝の部分をねじの谷と呼び、出っ張った部分をねじの山頂と呼びます。ねじは通常組み合わせて使用し、ねじの山と谷がしっくりはまるように、穴に溝を掘ったものがナットです。
ねじの形状
斜面にそって物体を動かすことは、ねじを回転させてめねじと強くかん合させることに相当するため、ねじを回転させる方向にわずかな力を加えただけで、軸方向に強い力が働きます。
ねじはJISに種々のものが規格化されています。しかしこのすべてが製作され、在庫されているわけでもなく、規格になくても数多く製造されているものもあります。一般的なねじ(メートルねじ)以外に良く使われているねじとして、タッピンねじがあります。